ラットプルのグリップは

ラットプルのグリップは

ラットプルダウンにはワイドやナロー、オーバーやアンダー、はたまたパラレルやVバーなど、様々なグリップがある。さらにフロントに引くかバックに引くか、鎖骨に引くか大胸筋下部を目がけて引くかなどの違いもあり、そのバリエーションは非常に多い。

チンニングも同様だが、筋電図の測定を基に紹介するため、ここではラットプルに統一する。ちなみに筆者は「チンニングの効果はラットプルのそれを遥かに上回る」と考えているが、チンニングは誰でもできるエクササイズではないし、ラットプルならではの有効性もあるため、プログラムにラットプルを入れることも多い。

筋電図の測定というと、「同じグリップだとしても、フォームによって変わるのだから意味がない」という人がいる。確かにそういう面もあるが、実はフォームを改善しても、それほど当該筋肉をアイソレートすることはできないという報告がある。ラットプルのフォーム指導によって、広背筋の出力は確かに高まったが、腕の筋肉への負荷は変わらなかったとするものだ。(※1)
つまりラットプルにおいて、「腕を使わないように」意識することは、あまり意味がないかもしれない。体操選手はそんな意識などしていないのに素晴らしい広背筋をしているし、筆者も高校生時代に懸垂の記録を伸ばしたくて懸垂ばかりやっていたら、あるとき、脇の下に見慣れない筋肉が出現しているのにビックリしたものだ。

さて、グリップの話である。数多くの筋電図測定によると、広背筋への刺激が強いのは「ワイドグリップ&フロント」となっている。Vバーはそれに次ぎ、バックに引くと広背筋への刺激はさらに弱くなる。
ドリアンなどはアンダーグリップを推奨しているが、アンダーだとどうしても二頭筋への刺激が強くなってしまうようだ。(※2、※3、※4など)

ちなみにチンニングとラットプルを比較したところ、当然だがチンニングのほうが刺激は強くなっている。(※5)ちなみにプーリーロウも比較対象に入れたところ、肩甲骨を動かして行うプーリーロウはオーバーグリップのプルダウンよりも広背筋への刺激が強くなっているという報告もある。(※4)

なお日本でも筋電図の研究は行われているが、そこではバックに引くほうが広背筋への刺激が強いという結果が出ている。しかしフロントでのグリップ幅がなぜか「肩幅」となっており、バックでのグリップ幅はそれよりずっと広くなっていることや、「アップライトロウでは広背筋をあまり刺激できないことを示している」といったアレな記述などもあり、ここでの考察からは排除して考えることにした。

※1:
Voluntary increase in latissimus dorsi muscle activity during the lat pull-down following expert instruction.
J Strength Cond Res. 2009 Nov;23(8):2204-9. doi: 10.1519/JSC.0b013e3181bb7213.

※2:
Electromyographic analysis of three different types of lat pull-down.
J Strength Cond Res. 2009 Oct;23(7):2033-8. doi: 10.1519/JSC.0b013e3181b8d30a.

※3:
A comparative electromyographical investigation of muscle utilization patterns using various hand positions during the lat pull-down.
J Strength Cond Res. 2002 Nov;16(4):539-46.

※4:
Variations in muscle activation levels during traditional latissimus
dorsi weight training exercises: An experimental study.
Dynamic Medicine 2004, 3:4 doi:10.1186/1476-5918-3-4

※5:
Kinematic and electromyographic comparisons between chin-ups and lat-pull down exercises.
Sports Biomech. 2013 Sep;12(3):302-13.


山本 義徳

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