筋膜リリースと微弱電流の関係は

ウェイトトレーニングの世界でも筋膜について語られることが多くなり、筋膜を「リリース」するという話などがジムでも頻繁に聴かれるようになってきた。

しかし筋膜は筋肉のように素直に並んでいるわけではなく、様々な方向に走行していて、らせん構造に近い。らせん構造ということは、ある方向に「リリース」したら、逆方向に向かってはむしろ固めてしまっていることにもなるわけだ。

一般的な徒手療法によって「リリース」されて柔らかくなったように感じられるのは、実は筋膜ではなく、筋肉がリリースされているのである。(※1)
また腸脛靭帯などのように結合組織の多い組織を「リリース」するためには非常に大きな力が必要であるため、一般的には不可能である。ただし浅層においてのみなら、可能かもしれない。(※2)

では、どうすれば筋膜をリリースできるのか。一つの方法としては、「振動を加える」ことである。(※3)バイブレーションを加えることによって筋膜に全方位的に影響を与え、特にヒアルロン酸の流動性を高めることができるようだ。(※4)

また微弱電流が効果的かもしれない。微弱電流によって筋肉のダメージが軽減できることは既に知られている。(※5)
ある報告によれば、50名の患者のうち49名に効果があったとされる。(※6)40Hzの微弱電流によりアラキドン酸の生成が減少し、炎症反応の低下がみられるという報告もある。(※7)

さらに、温熱療法の効果には強く期待できる。40度にまで筋膜の温度を高めることにより、おそらくコラーゲンの伸張性増加によって組織がリラックスするようだ。(※8、※9)

筋膜についての研究はここ数十年で大きく発展し、筋膜組織そのものに収縮能力があったり、免疫細胞が存在したりといったことも知られるようになってきた。今後の研究展開が期待される。


※1:
Fascial plasticity – a new neurobiological explanation
Robert Schleip MA Rolfing Faculty, European Rolfing Association e.V., Kapuzinerstr. 2S, D-80337, Munich, Germany

※2:
Three-dimensional mathematical model for deformation of human fasciae in manual therapy.
J Am Osteopath Assoc. 2008 Aug;108(8):379-90.

※3:
Harmonic Healing: A Guide to Facilitated Oscillatory Release and Other Rhythmic Myofascial Techniques
Zachary Comeaux

※4:
Mathematical analysis of the flow of hyaluronic acid around fascia during manual therapy motions.
J Am Osteopath Assoc. 2013 Aug;113(8):600-10. doi: 10.7556/jaoa.2013.021.

※5:
Electro-membrane microcurrent therapy reduces signs and symptoms of muscle damage.
Med Sci Sports Exerc. 2002 Apr;34(4):602-7.

※6:
microcurrent treatment of myofascial pain in the head, neck, and face.
Topics in Clinical Chiropractic

※7:
Anti-inflammatory effects of interferential frequency-specific applied microcurrent. Reilly WG, Reeve VE, McMakin CR Proceedings of the National Health and Medical Research Council, 2004

※8:
Effect of therapeutic temperatures on tendon extensibility.
Arch Phys Med Rehabil. 1970 Aug;51(8):481-7.

※9:
Viscoelasticity and temperature variations decrease tension and stiffness of hamstring tendon grafts following anterior cruciate ligament reconstruction.
J Bone Joint Surg Am. 2006 May;88(5):1071-8.


山本 義徳

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