バルクアップのためのTIPS Part 42

バルクアップのための心構えを毎月5点ずつ、紹介していきます。その内訳は次の通り。

1. トレーニング
2. 食事
3. サプリメント
4. 休養
5. その他
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1. 得意部位のトレーニングは控えよ!
弱点を補強したい場合、弱点部位のトレーニング頻度・量を増やすトレーニーが多い。しかしそれではダメだ。
身体が一度に合成できる筋タンパク量には限りがある。回復力にも限りがある。他の部位のトレーニング量を変えず、弱点部位のトレーニング量を増やしたら、オーバーワークになること必定だ。

得意部位は少しくらいトレーニングを減らしたり、完全にスキップしたりしても問題ない。その分を弱点部位のトレーニングと回復に充てるのだ。
また弱点となるからには理由がある。上手く刺激を与えられていないならフォームやエクササイズを変える。筋肉痛になっているのに肥大しないのならオーバーワークを疑い、ストレッチ系やネガティブ刺激は避ける。
上手くいっていなければ、無闇にトレーニング量を増やすのではなく、「考えて」トレーニングするようにしよう。


2. もっと水を飲め!
脱水がパフォーマンスを低下させることは良く知られているが、「体内に十分に水を満たしておくこと」それ自体が、体組成を改善してくれる。ある報告によれば、水中毒にならない程度に水を多く飲むようにしたところ、タンパク質の分解が抑えられ、体脂肪の分解が増加している。(※1)

脱水するとACTHやコルチゾルの分泌が亢進し、また酸化ストレスも増大する。喉の渇きを覚えたら、その時点で脱水は進んでしまっている。「喉が渇いた」と感じないよう、常に水分を補給するように心がけておきたい。

※1:
Effects of changes in hydration on protein, glucose and lipid metabolism in man: impact on health
European Journal of Clinical Nutrition (2003) 57, Suppl 2, S69–S74. doi:10.1038/sj.ejcn.1601904


3. グリシンを利用しろ!
もっとも構造が単純なアミノ酸は「グリシン」だ。そして非常に安価に買うことができる。日本国内でもグリシンのパウダーは1kgが1500円くらいで入手可能である。しかし非必須アミノ酸であるグリシンを、わざわざ摂取するだけのことはあるのだろうか?

あるのである。グリシンはコラーゲンの3分の1を占める。またクレアチンの材料でもある。ヘモグロビンの材料でもある。さらにグルタチオンの材料でもある。
そして、睡眠を深くする作用がある。さらに、アンチカタボリック作用(※2)や抗炎症作用(※3)も期待できる。
ただしコラーゲンパウダーをサプリメントで飲んでいる場合は、既にグリシンを十分摂取していると考えられるため、特に追加する必要はないだろう。

※2:
Glycine administration attenuates skeletal muscle wasting in a mouse model of cancer cachexia.
Clin Nutr. 2014 Jun;33(3):448-58. doi: 10.1016/j.clnu.2013.06.013. Epub 2013 Jun 26.

※3:
L-Glycine: a novel antiinflammatory, immunomodulatory, and cytoprotective agent.
Curr Opin Clin Nutr Metab Care. 2003 Mar;6(2):229-40.

4. 温冷交代浴を試せ!
15℃の水に14分間浸かる冷温浴と、15℃の水と38℃の水に1分間ずつ交代で、合計14分間浸かる温冷交代浴は、高強度サイクリングからのリカバリーを早めている。しかし38℃に14分間浸かる温浴は、回復を遅らせたという。
またレッグプレスを行わせた後の筋肉痛について調べたところ、やはり交代浴に顕著な効果が認められている。(※4)

なお5℃の水に1分間浸かるアイスバスは、何の効果もなく、むしろ脚の痛みが出たという報告もある。(※5)回復を早めるためには、アイスバスよりも交代浴を選んだ方が良いものと思われる。(※6)

※4:
The effect of contrast water therapy on symptoms of delayed onset muscle soreness.
J Strength Cond Res. 2007 Aug;21(3):697-702.

※5:
Ice‐water immersion and delayed‐onset muscle soreness: a randomised controlled trial
Br J Sports Med. 2007 Jun; 41(6): 392–397.

※6:
Contrast water therapy and exercise induced muscle damage: a systematic review and meta-analysis.
PLoS One. 2013 Apr 23;8(4):e62356. doi: 10.1371/journal.pone.0062356. Print 2013.


5. いろんな視点で見てみよう!
かなり昔のTV番組に松井章圭氏と佐竹雅昭氏が出ていて、松井氏が「空手の正拳突きを極めるだけでも大変だ。ボクシングのパンチを練習する暇などない」という趣旨のことを言ったところ、佐竹氏がそれに反論して「ボクシングを練習することで、正拳突きを別の角度から見ることができて、新しい技につなげることができる」と言っていた。

これには面白い後日談があるのだが、公開するわけにはいかぬ。ともあれ、松井氏の発言は空手家としては模範解答だと思うが、筆者としては佐竹氏に分があると思う。
ベンチプレッサーはベンチだけやっていればよいという考え方もあるが、ダンベルベンチをやることでバーベルベンチに対する新しい発見があるかもしれない。バックスクワットだけでなく、フロントスクワットをやることでバックスクワットが伸びるということもある。

エクササイズに限った話ではない。筆者も東洋医学を勉強することによって、西洋医学や生化学、分子生物学を別の視点から見ることができるようにもなった。
人間関係も同様だ。いつも同じコミュニティにいて居心地の良さに満足するのではなく、まったく知らないコミュニティにも時には参加してみよう。人生に新しい路が拓けるかもしれない。


山本 義徳

Page Topへ