SSCを利用したバルクアップ・エクササイズ

SSCを利用したバルクアップ・エクササイズ

バルクアップのためにはストレッチエクササイズが必要だということは、これまでに口を酸っぱくして強調しています。しかしストレッチポジションにおいて強い負荷をかけることは、ケガの危険性を高めてしまうことにもつながります。

ビルダーのトレーニング映像を見ていると、ゆっくりと丁寧に行っている人もいれば、チーティングを使って一見いい加減なフォームでやっている人もいます。後者のほうはダメなトレーニングのように思われますが、それでも映像を残すレベルにあるほどのレベルに達する肉体を作り上げているのは何故でしょうか。

SSC(ストレッチ・ショートニング・サイクル)という言葉があります。しゃがんで一時静止した状態からジャンプするよりも、しゃがんですぐに切り返してジャンプしたほうが、高く跳び上がることができます。
筋肉は一気に伸ばされると、伸ばし切られて断裂してしまわないように、収縮しようとする働きがあります。それを「伸展反射」と呼びますが、これは脳を介さず、脊髄からの反射運動として行われ、通常よりも強い力を発揮することができるのです。
また筋肉や腱には「エラスチン」という弾性を持つ繊維があり、ゴムが伸びると縮むように、筋肉や腱も伸ばされるとエラスチンが縮もうとして弾性エネルギーが発生し、自然と収縮するのです。

このような動きは、多くのモーターユニットを動員します。スロートレーニングとは対極と言って良く、筋繊維と神経系に強い刺激を与えることができるのです。

SSCを上手く利用した動きは、一見反動を使っているように見えますが、注意深く見ると違います。他の筋肉群を使って動作を行うのではなく、ターゲットとしている筋肉を上手く使い、まるでゴムが伸び縮みするように瞬間的に伸ばし、切り替えしている動きとなっています。

いわゆる「効かせるトレーニング」というのは脳で意識しているわけですが、SSCにおける伸展反射や弾性エネルギーは脳を介していません。高く跳び上がるときに「足をこう動かして、手をこう振って、膝をこう曲げて・・」などと考えていてはまともに跳べないように、トレーニングにおいてSSCを利用するときも、効かせることではなく、とにかく挙げることだけ考えて無心に行うようにします。

ただし前述のとおり、ストレッチした状態で強い刺激が加わることはケガの原因にもなります。またチーティングではなく、対象とする筋肉群だけを上手く働かせてゴムのように動かす動きは、トレーニングに慣れていないと、なかなか難しいものです。初心のうちはゆっくりと効かせる動きを心掛け、慣れてきたらときどきSSCを採り入れるようにしてみてください。


山本 義徳

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