サプリメントつれづれ日記 第十段

サプリメントつれづれ日記 第十段

家居のつきづきしく、あらまほしきこそ、仮の宿りとは思へ ど、興あるものなれ。さてもやは長らへ住むべき。また、時の間の烟ともなりなんとぞ、うち見るより 思はるる。大方は、家居にこそ、ことざまはおしはからるれ。
「ボディビルで鍛えた筋肉は不自然であり、使えない筋肉だ」という認識は未だに根強いものです。反論する前に、では「使える筋肉」とはなんなのか、その定義が必要となります。「使える筋肉」の定義があやふやだからこそ、議論の収拾がつかなくなるのでしょう。

野球選手が水泳をやっても、サッカー選手が野球をやっても、そう上手くはないはずです。競技によって使う筋肉はもちろん違いますし、筋肉を動かす「脳の働き」も全く異なっています。
走るのが速くても車には敵いませんし、格闘技が強くても警察沙汰になったらかえって不利になります。つまりスポーツをやっていても、それが日常生活や他のスポーツ全般に役立つということは、あまりありません。

それなのになぜボディビルだけが「使えない」と言われるのか。劣等感や文化的土壌など理由はいろいろでしょうが、もっともありそうなのは「期待値が大きいから」ではないでしょうか。
他のスポーツ選手は、外見は一般人と大差ありません。しかしボディビルダーは如何にも一般人とは異なっており、それだけ日常生活上でのパフォーマンスを求められるのです。
そのうえで日常生活で筋肉のメリットを発揮する場など、そうはありませんので、理不尽にもガッカリされるわけです。

競技能力向上のためのトレーニングとしても、未だにウェイトトレーニングを否定する指導者は数多くいます。最初から毛嫌いしている指導者もいますが、実際にウェイトをやらせて、思ったよりパフォーマンスが伸びなかった場合、ウェイトに使った労力を考えると、やらないほうが良かったと考えることもあるようです。
しかしそれは指導法が悪かっただけで、正しくウェイトトレーニングを指導すれば、期待以上の効果が出てくるはずです。

サプリメントについても同じことで、「サプリメントは不自然であり、食事から栄養を摂取すべきだ」という考えは根強いものです。また間違った使い方をしたため、サプリメントの効果に懐疑的になった人も多いのではないでしょうか。

筆者の個人的な感想ですが、「合理的思考ができるかどうか」が、分かれ道となっているように思えます。ボディビルダーの肉体は確かに「不自然」ですし、サプリメントもそうです。しかし合理的思考によれば、必ずしも「自然がベスト」ではありません。

各種競技に特化したスポーツ選手の身体は不自然ですし、毒を含んでいる自然の食物も数多くあります。アンチエイジングなど、不自然の極みです。
私は猫を5頭飼っていますが、オスには去勢手術、メスには避妊手術を受けさせています。そのほうが健康で長生きできるからですが、それを不自然だと考える人も多く、そう考えるのが悪いとは思いません。しかし猫を飼うということ自体が、私に言わせれば不自然なのです。

人間は自然に生き、そして死んでいく。でもそれだけでは満足できないから、スポーツで競ったり、美容に気を遣ったりするのです。
それなのに、様々な行為に「自然性」を求める。それこそ不合理というもので、サプリメント否定派に私が感じる違和感は、そうしたところから来ているのかもしれません。


山本 義徳

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