肉離れの予防、そして迅速な回復のために

肉離れの予防、そして迅速な回復のために

冬季だけでなく、夏季にも意外に多いのが肉離れです。ここでは主に栄養面から肉離れの予防と回復のための方法を紹介していきましょう。

◆肉離れとはどういう状態なのか?
肉離れを言い換えると、「筋断裂」です。これは筋肉だけでなく、筋膜のことも含みます。一般には筋肉ではなく、筋膜の断裂のほうが多く起こるとされています。

そして筋膜の主な構成物質は「コラーゲン」となります。コラーゲンには架橋結合(クロスリンク)と呼ばれる構造があり、これには還元できるreducible cross-linkと、ピリジノリンなどの還元できないnonreducible cross-linkがあります。しかし加齢によってreducible cross-linkが減り、nonreducible cross-linkの割合が増えてきます。
すると硬度は高くなるのですが、組織の柔軟性が失われ、強い衝撃を受けるとショックを吸収することができず、断裂してしまうのです。

◆肉離れからの修復過程
肉離れをした場合、まず炎症が起こり、そして繊維形成を経て、最終的に瘢痕組織が成熟します。
炎症状態のときは血管の拡張や血流の増加、血管浸透性の増加、血液粘度の増加などにより、「腫れ」が起こります。腫れることにより、今度は血流の低下や酸素供給の低下が起こり、その結果として細胞が壊れてしまいます。このことを「二次的低酸素障害」と呼びます。

そして次に「繊維増殖」と呼ばれる結合組織の修復過程に入ります。ここでコラーゲンが合成されて繊維状のかたちになっていきます。このときは筋繊維芽細胞が出現し、断裂して欠損した部位にコラーゲン線維を引っ張ってきます。それによって欠損部が小さくなり、修復が必要な組織量を減らすことができるのです。これを「創傷の収縮」と呼びます。
しかし規則正しくコラーゲンを並べる余裕はなく、とにかくコラーゲン繊維で受傷部位を埋めようとするため、瘢痕組織となってしまいます。

◆肉離れ対策の食事とは
コラーゲンを強化することが重要です。身体のタンパク質はアミノ酸を元にして作られていますが、アミノ酸が足りなかったり、酵素が十分になかったりすると、「質の悪いアミノ酸」を使って代用します。するとタンパク質が正しく作られず、弱いコラーゲンとなり、肉離れを起こしやすくなるのです。

コラーゲンの材料は、その半分を「グリシン」というアミノ酸が占めています。しかし他にも「プロリン」というアミノ酸が重要な働きをしています。
プロリンはコラーゲンをつくるアミノ酸の25%を占めているのですが、その半分は「ヒドロキシプロリン」というものになっています。これはコラーゲンがタンパク質として完成されたあと、コラーゲンプロリン水酸化酵素によって「ヒドロキシ化(水酸化)」されるのですが、この反応にはビタミンCが必要なのです。
ビタミンCが足りないと「ヒドロキシ化」ができず、コラーゲンは弱くなってしまいます。

特にお勧めしたいのが「脂溶性ビタミンC」です。コラーゲンを生成する研究において、普通のビタミンCに比べ、脂溶性ビタミンCは10倍の効果があったとされています。量としては一日に脂溶性ビタミンCとして500mgは普段から摂取しておきたいものです。

またもちろんタンパク質もしっかり摂取するとともに、鳥の手羽先や軟骨、豚足、魚の皮などコラーゲンそのものを含んだ食品を積極的に食べたり、サプリメントでコラーゲンパウダーを摂取したりするようにしましょう。
「コラーゲンを摂取しても体内でアミノ酸に分解されてしまうため、効果はない」というのは、ひと昔前の間違った常識です。

◆肉離れ対策の運動とは
まずは有酸素運動です。ラットの実験では、有酸素運動を適度に行うことで、nonreducible cross-linkの形成が低下することがわかっています。
またストレッチによる刺激により、コラーゲンの合成が活発になることもわかっています。この場合、あまり重い重量を使う必要はありません。
さらにBFRトレーニングなどで成長ホルモンの分泌を高めることも、コラーゲンの合成に役立ちます。


山本 義徳

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