BFR(Blood Flow Restriction)トレーニング 三部作 Part 2

BFR(Blood Flow Restriction)トレーニング 三部作 Part 2

BFR(Blood Flow Restriction)トレーニングを安全に行うために

BFRTの一般的なプロトコルとしては、マックスの20~30%の重量を用いてハイレップスで行うというものだ。血流を制限する時間としては10~20分らしい。

しかしこの方法では血栓ができる可能性が高い。またもっと大きな問題となるのが、「虚血再灌流障害(きょけつさいかんりゅうしょうがい)」である。血流が停滞した後、急激に血液が流れだすと、活性酸素が大量に発生する。他にも炎症性サイトカインの増加などが起こり、臓器や組織の傷害が発生するのだ。
t-PA静注は発症後3時間以内とされているが、虚血して1~2時間以内なら直ちに命にかかわるようなことはないかもしれない。しかしダメージを受けることに変わりはない。

血栓にせよ、虚血再灌流障害にせよ、問題となるのは「時間」と「範囲」、「虚血の度合い」である。ここで面白い研究を紹介しよう。

Perceptual effects and efficacy of intermittent or continuous blood flow restriction resistance training.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24666729

一般的なBFRTは、インターバルの間も血流を制限したままである。しかしそれだと痛みが強い。そこで痛みを軽減するために、インターバル中はカフを緩めてしまう。するとどうなったか。
なんとインターバル中にカフを緩めた場合も、同じように後半のセットではレップスが低下し、疲労度に変わりはなかった。また5週間後の筋力向上も同等だったという。

筆者が個人的に試した場合も、同じような結果が出ている。セット間にカフを緩めても、最終セットのあたりでは継続的に締めていた場合と同等の疲労が起こっているのだ。

1セット毎に緩めることができるのならば、虚血している時間はずっと短くなる。ただし虚血の「回数」は増えるが、Part 3で紹介するように1セットの時間を40秒程度にとどめることができるのならば、ダメージは大きくないはずだ。
ちなみに血圧計カフを用いて5分間の間、200mmHgで上腕の血流を止め、5分間休ませ、再度締め付けるという方法を4回繰り返したところ、心組織の損傷を30%減少させることができたという報告もある。
Improved long-term clinical outcomes in patients with ST-elevation myocardial infarction undergoing remote ischaemic conditioning as an adjunct to primary percutaneous coronary intervention
http://eurheartj.oxfordjournals.org/content/early/2013/09/11/eurheartj.eht369.abstract
また虚血の「範囲」を考えると、できれば腕に絞ってBFRTを行うことをお勧めしたい。脚+カーフという巨大な筋肉群の血流を止めてしまうのに比べ、腕はずっと安全である。
腕の場合は脇の下あたりの血管が細いこともあり、脳や肺に大きな血栓が飛んでしまう可能性も低い。

そして「締め付ける強さ」である。強く締め付けたほうが効果も高いように感じられがちだが、成長ホルモンの分泌を調べた国内の研究では、150mmHgに比べて80mmHgにおいて血中成長ホルモン濃度が高い値を示す傾向にあったという。アスリート向けとして250mmHgなどという強さで締めることを推奨するトレーナーもいるようだが、それよりずっと弱い強さで良いようだ。なお、BFRTの多くの研究では150mmHg前後が使われている。


山本 義徳

Page Topへ